次世代Well-Beingの研究課題

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IoT&健康・福祉・スポーツ・教育・技能研修

当プロジェクトは、センサ等から取得したデータを個人に対して役立てる研究を行っています。2016年に文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」に選定され、5年間の計画で活動しております。

【URAとは】

当プロジェクトでは専任URA(University Research Administrator)を置き、研究以外のブランディング活動や内外との遣り取りをURAに任せることで研究者が研究に専念できる体制を整備しました。言わば大学内で教員と職員の間にある役でしょうか。私は当プロジェクトにおいてURAの任に当たっています。


【IoTとの関連】

センサと情報技術というとIoT(Internet of Things)という概念が提唱されています。様々なセンサからデータを収集、蓄積することでビッグデータを作り、これらの膨大なデータについて人工知能(AI)を活用しながら処理・分析等を行うという未来が予測されています(図1)。IoTというとビッグデータやスマートシティ、自動運転など、社会インフラとして印象が強いかと思います。当プロジェクトでは、健康、福祉、スポーツ、教育、技能研修など、当学で主に個人分野で先進的な研究が行われていたことから、これを大学全体のブランドとしていくことを目指します。


【次世代Well-Beingとは】

Well-Beingというと通常は身体的な健康をいいますが、当プロジェクトでは身体的な健康に加えて、精神的な健康、更には社会的な健康を含めて「次世代Well-Being」と考えています。

今までのウェルビーイング実現の為のサービスは主として不特定多数に対するものでした。サービスを提供する側は、個人の経験・知識に基づいて対象者に必要なサービスを判断し、画一的なサービスを提供していました。或いは医療、福祉、教育等、個々人に対する対応が必要な分野では膨大な人手を掛けて、個別対応を行っているのが現実かと思います。当プロジェクトは、不特定多数に画一的なサービスを提供するのではなく、個々の対象者に最適なサービスを提供するシステムを目指しています。

例えば、よく眠れるベッドを考えてみます。今までは寝具企業が一般の人が良く眠れるベッドを開発していました。しかし、ベッドや周囲のセンサから睡眠者の状態を推定し、睡眠者に最も良い眠りをベッド自体が調整してくれたらどうでしょうか。

その為には [1]まず、対象者の状態を計測します。そこから [2]ある分野に共通なモデルを導き出します。ここでいうモデルとは、各種センサ等のどの情報源をどのように解析、処理したら有用な情報にできるかを数理的に表現したものです。そのモデルに対して、[3]個々人の特徴、特性に合わせたパラメータ(変数)を決め、調整することによって、個々の対象者に最適なサービスを実現します。これを当プロジェクトでは「個別適合」と呼んでいます。この枠組みを総称して、我々は「次世代Well-Being」と名付けました(図2)。

先程のベッドの例でいうと、まず [1]様々ある中でセンサの選択が必要です。そして、[2]快眠という状態を数値的にどう表すのかという工学的な数値化も必要です。その情報を元に[3]ベッドや空調をどう動かしたら最も効果的かという課題もあります。


【研究課題】

従って、我々がどんな技術を研究しているかというと

  1. 対象者の特性を図る様々な計測、センシング技術

    特に人間を対象とする場合には、装着・設置の容易性やコスト面を意識する必要があります。

  2. 計測した結果やセンシングしたデータをモデル化して処理する技術

    人間など生体から取得できるデータは多岐に渡ります。例えば、睡眠を考えてみても、心拍、呼吸、体表面温度、深部体温、寝返り、いびき等が考えられます。どのデータをどう処理するか、人間生理的な知見も必要です。

  3. モデルとパラメータ(変数)に基づいて対象者もしくはその環境に働き掛けるアクチュエーション(個別適合)の技術

    人間にとって心理的に受け入れやすい情報提供方法や安全かつ効果的な環境調整を検討する必要があります。

です。

当プロジェクトは今現在、理工学部、教育人間科学部の2学部4学科の教員が研究者として参画しております(図3)。大学内に留まらず、地方自治体をはじめとした地域連携、海外の大学との共同研究、そして企業との共同研究も併せて推進しております。

【本稿をお読みになっている皆様へのお願い】

当学院には「地の塩、世の光」という言葉があります。当プロジェクトはこれを研究面で実現するものと考えております。ただ、研究が世に出ていく為には、コアメンバの教員の研究分野だけでなく、ハードウェアやセキュリティ、製品化、更には法律やビジネス分野の協力も不可欠です。当学院の皆様へ当プロジェクトへのご参加、ご協力をお願い申し上げます。お気づきの点がございましたら、私までご一報いただければ幸いです。


HMDと音声認識を利用した絵本の読み聞かせ支援システム 子安さん@青山学院大学 ロペズ研究室